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高度不妊治療

卵巣刺激のバリエーション


  • まずは、アンタゴニスト法を用いた刺激周期で、安全な卵育てに挑戦!
  • 刺激周期でも卵胞が1、2個しか育たない方は、卵巣に優しい準自然周期で

 卵巣刺激のやり方は、一通りではありません。薬の種類や使用期間によっては、できる卵子の質や数が変わることもあります。日本でもGnRHアンタゴニスト製剤(アンタゴニストは、アンチ・アゴニストという意味)が認可されてからは、ますます卵巣刺激のバリエーションも広がってきています。

 ここでは、お二人の“あらゆる負担を軽くする”ことをモットーに掲げる山下レディースクリニックだからこそ第一にご提案している、アンタゴニストを用いた安全な卵巣刺激法と、もう一つ、年齢が高めの方や排卵誘発剤によるハードな卵巣刺激を行っても、1、2個しか卵胞が成長しないような方におすすめしている、卵巣に優しい準自然周期について解説します。

アンタゴニスト法による刺激周期

当クリニックだからこそのファースト・チョイス!アンタゴニストを用いた、安全で体に優しい低刺激の卵育ての7つのポイント

 卵巣刺激で育てた、せっかくの複数の卵胞が、採卵前に排卵してしまうことを防ぐため、当院では排卵コントロールにGnRHアンタゴニスト製剤を用いる方法をおすすめしています。さまざまな利点がありながら、メリットを活かすには使い方にコツがいるといわれるアンタゴニスト。豊富な実績を誇るYLCならば、このアンタゴニストのメリットを最大限に活かした、安全で、身体にやさしいARTをご提供できます。

※詳しく知りたい方は、1から7までの見出しをクリックしてください。

  1. 即効性の高いGnRHアンタゴニストならば、 たった2〜4日間の使用で、排卵を確実にコントロールできる
  2. 卵巣刺激の前半は、本人のFSHも活かせるため、 排卵誘発剤の使用量が少なくてすむ傾向に!
  3. 下垂体を長期間にわたってブロックしないので、 GnRHアゴニスト使用時に比べて、身体が楽
  4. hCGの替わりにアゴニスト(点鼻薬)を使って、 採卵準備ができるので、OHSS発症はほぼゼロに
  5. 使用を中止すると、効果もすぐに切れるので、 本人の黄体ホルモンが分泌され、黄体補充も軽めでOK
  6. 次周期以後の乱れが少なく、 治療を休まなければいけない期間が短い
  7. アンタゴニストの使い方にはコツが必要! だからこそ使用経験豊富な医師のもとで受けたい

ソフトな卵巣刺激の準自然周期

刺激周期でも卵胞がたくさん育たない方は、卵巣に優しいため、毎周期でもチャレンジでき、チャンスを逃しにくい、準自然周期がおすすめ

 高齢の方や卵巣の反応性が落ちていて、排卵誘発剤を多量に用いても、あまり多くの卵胞が育たないような方には、クロミフェン製剤とごく少量のFSH製剤による準自然周期でのARTをおすすめしています。

 とくに高齢になると、周期によって卵子の質が大きく違うといわれています。だからこそ、排卵誘発剤による卵巣への負担を減らし、毎周期でもARTにチャレンジできるようにすることで、少ないチャンスを逃がさないようにするほうが、いたずらに強い卵巣刺激を行うよりも賢明だと考えます。

そのほかの卵巣刺激の方法

アンタゴニスト法の7つのポイント

  1. 即効性の高いGnRHアンタゴニストならば、 たった2〜4日間の使用で、排卵を確実にコントロールできる
     体外受精や顕微授精などのARTを行う際は、卵巣刺激によって育てた複数の卵胞が、採卵前に排卵してしまうことがないように、通常は、薬を使って排卵をコントロールします。排卵の引き金となるLHサージ(黄体化ホルモンの大放出)が起こらないようにすることで排卵を防いでいるのですが、当クリニックでは、このための薬剤に自信を持ってGnRHアンタゴニスト(注射薬/製品名『セトロタイド』)をおすすめしています。

     卵胞が14〜16ミリになったら、hCG(採卵準備のための注射)を打つまでの約3日間だけ1日1回『セトロタイド』を注射します。即効性があるので、このような短期間の使用でも、しっかりと採卵前に排卵が起こるのを防ぐことができるのが特徴です。

     長期間にわたって、自分で一定間隔をあけながら、鼻腔内に噴霧しなければ排卵コントロールができないGnRHアゴニスト製剤(点鼻薬)と違って、「うっかり忘れた!」という失敗もありません。
  2. 卵巣刺激の前半は、本人のFSHも活かせるため、排卵誘発剤の使用量が少なくてすむ傾向に!
     アゴニスト周期の場合は、卵胞を育てる期間の大半にわたって本人の卵巣刺激ホルモン(FSH)を抑え込み、排卵誘発剤だけに頼って卵胞を育てることになります。ところが、アンタゴニスト周期であれば、アンタゴニストを注射するまでは、本人が分泌するFSHを卵育てに活かせるため、その分、排卵誘発剤の投与量も減る傾向にあるというわけなのです。
  3. 下垂体を長期間にわたってブロックしないので、 GnRHアゴニスト使用時に比べて、身体が楽
     アゴニストは、長期間にわたって下垂体の機能をブロックし、投薬中止後も機能の回復にも時間がかかります。ところが、アンタゴニストは即効性ですので、短期間の使用で済むうえに、投薬を中止することで下垂体の機能もすぐに回復するため、身体の消耗度が軽くて済むのです。

     アゴニスト周期とアンタゴニスト周期、両方を経験したことのある方からは、驚いたように、よく「アンタゴニスト周期は、身体が本当に楽ですね!」と言われます。
  4. hCGの替わりにアゴニスト(点鼻薬)を使って、 採卵準備ができるので、OHSS発症はほぼゼロに
     アンタゴニスト周期に、さらにアゴニストを使うと聞いて、「どういうこと!?」と不思議に思われる方も多いことでしょう。この場合のアゴニストは、排卵を防ぐためではなく、採卵の準備のために用いるのです。実は、この方法こそが、当院が平成18年以来、OHSSの発症を抑え込むことに成功している秘訣なのです。

     卵巣刺激によって十分な数の卵胞が理想的な大きさにまで育ってきたら、採卵に向けて、卵子に最終的な成熟を促す必要があります。自然周期において、その役割を果たしているのがLHサージ(黄体化ホルモンの大放出)です。ところが、ARTを行う場合は、採卵前に排卵が起こってしまうことを防ぐため、ほとんどのケースでアゴニストやアンタゴニストを用いてLHサージが起こらないように下垂体の機能を抑え込んでいます。ですから、その替わりにLHサージと似た働きをするhCGを、採卵に都合のいいタイミングで注射する必要があるのです。

     ところが困ったことに、このhCGを注射することで、『卵巣過剰刺激症候群(OHSS)』を悪化させてしまうケースがあります。中でも、『多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)』の方は、卵巣刺激によって必要以上にたくさんの卵胞が育ってしまう可能性が高く、卵巣が腫れやすいため、hCGによってOHSSが重症化するリスクが高く、注意が必要です。ですから、アゴニスト周期の場合、OHSSの悪化が懸念されるケースでは、hCGが投与できずに、ARTをキャンセルせざるをえない事態になってしまうことも珍しくありません。長期間にわたって日に数回、点鼻薬を使い、時間を割いて通院し、排卵誘発剤の注射の痛みに堪えてきたにもかかわらず、採卵を目前に治療が中止になるというのは、切なくむなしいものです。

     でも、大丈夫! 排卵コントロールにアンタゴニストを用いた周期ならば、OHSSを回避し、安全なART治療が可能になる手だてがあるのです。採卵準備のため、hCGの代わりにアゴニスト製剤を使う方法です。実は、アゴニストを使いはじめた直後は、フレア・アップといわれる現象が起こり、一時的にFSHとLHの大放出が起こるのです(この後、急速にダウン・レギュレーションが起こってFSHとLHが分泌されなくなり、採卵前に排卵が起こらないようコントロールできるようになる)。このフレア・アップによるLHの大放出をLHサージとして利用し、採卵前の卵子に最終的な熟成を促そうという作戦です。フレア・アップはアゴニストの使用開始直後にしか起こらないため、排卵コントロールを目的に、すでに何日間もアゴニストを用いてきた周期には、使えない作戦だということはおわかりいただけたでしょうか? アンタゴニスト周期だからこそ、使える手段なのです。

     採卵直前にアゴニストを投与し、本人のLHを大放出させる方法は、hCGを注射する方法に比べて、LHサージ作用が短期間で消えるため、OHSS回避にはたいへん効果的で、安全です。とくにOHSSが重症化しやすいPCOS(多嚢胞性卵巣)の方には、最適な卵巣刺激法といえるでしょう。
  5. 使用を中止すると、効果もすぐに切れるので、 本人の黄体ホルモンが分泌され、黄体補充も軽めでOK
     アゴニスト周期では、下垂体機能が落ちている状態にあり、本人のLHが十分に分泌されない状態が、投薬中止後もしばらく続きます。ですから、胚の着床と妊娠の維持に欠かせない黄体ホルモン(プロゲステロン)を得るためには、胚移植前後にLHに似た働きをするhCGを注射したり、黄体ホルモン製剤による補充を行ったりする必要があります。

     もちろんアンタゴニスト周期も、GnRHのカギ穴をふさいでLHの分泌を抑え込んでいるわけですが、目的を果たした後は本来おさまるべきGnRHにカギ穴をさっと譲るだけですので、アンタゴニストの使用を中止すれば、またすぐに本人のLHの分泌が復活します。つまり、黄体補充も軽めで大丈夫なのです。
  6. 次周期以後の乱れが少なく、 治療を休まなければいけない期間が短い
     排卵誘発剤を使って卵巣を刺激した以上、アゴニスト周期であっても、アンタゴニスト周期であっても、次の卵巣刺激までには最低でも2周期は卵巣を休ませてあげる必要があります。

     この場合にも、アンタゴニスト周期には有利な点があります。下垂体の機能が数日で回復するため、次周期以降のホルモンバランスの乱れが少なく、治療を休む期間が短くてすむ傾向にあります。また、月経周期も乱れにくいため、ARTの合間にも、AIHを行ったり、タイミング療法を試したりと効果的に治療スケジュールを入れていくことができます。
  7. アンタゴニストの使い方にはコツが必要!だからこそ使用経験豊富な医師のもとで受けたい
     アンタゴニスト周期は、できるだけ使用経験豊富な医師のもとで受けましょう。なぜなら、アンタゴニストには使用方法に微妙なさじ加減が必要だからです。当クリニックが、このアンタゴニストをファースト・チョイスにおすすめできるのは、数多くの使用経験でつちかったゆるがない自信があるからなのです。

     投与のタイミングが早すぎると、卵の成長にブレーキをかけてしまいますし、また遅すぎると、排卵を抑えられず採卵できないといったことになりかねません。卵をしっかりと熟成させるためには、アンタゴニストを使うタイミングをしっかりと見極める目と、排卵誘発剤によるほどよい後押し(アクセル)が重要なのです。よくアゴニストはオートマ車に、アンタゴニストはマニアル車に例えられます。アンタゴニストは、運転技術が必要な薬だということを覚えておいてください。上記の6つのメリットを活かすためには、医師の経験がものをいうのです。