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高度不妊治療

体外受精(IVF)


  • 体外で、奥さまの卵子と、ご主人さまの精子を一緒にして受精を期待する
  • 受精した卵(胚)を培養後、子宮内に戻して、自然な着床をねらう
  • アンタゴニスト法による卵巣刺激でOHSSを回避し、安全なARTを実施!
  • ステップアップ治療において、ARTは最も医療介入度が高いが妊娠率も高い

体外受精は、卵子と精子を体外で一緒にし、自然に受精した卵を子宮に戻す治療法です。医療の介入度が高い分、妊娠率も高くなります

体外受精とは?

 体外受精(IVF)は、卵子と精子のお見合いの場を卵管内から体外に移して、自然に受精した胚(受精卵)をお母さんの子宮内に戻し、無事に着床することを期待する治療法です。通常は、一度の採卵(卵子を体外に採り出すこと)で複数の卵子が得られるように、排卵誘発剤を用いて卵巣刺激を行い、複数の卵胞を育てます。受精卵(胚)が多く得られれば、その中から、よりグレードの良い、生命力のある胚を選択することができます。また、卵子の質は加齢によって低下してしまうため、胚のグレードも奥さまの加齢とともに落ちて行く傾向にありますが、体外受精後に余剰胚ができた場合には、その時点の胚を凍結保存しておくことができます。

  ART(アート)(生殖補助技術)を用いた体外受精や顕微授精(ICSI)は、3段階あるステップアップ治療においては、最も医療の介入度が高い治療ですが、同時に最も1治療周期あたりの妊娠率が高い治療でもあります。

  世界ではじめての体外受精児が誕生(1978年)してわずか30年の間に、ARTによる治療はすっかり一般的なものになりました。体外受精や顕微授精によって誕生した子どもは、世界ですでに200万人を超えたといわれています。この日本でも、 年間約2万人もの赤ちゃんがART治療によって生まれています。

母になる体に優しい、安全なART

 ARTの最も厄介で危険な合併症は、『OHSS(卵巣過剰刺激症候群)』です。排卵誘発剤を用いた卵巣刺激で、卵胞が10個以上発育する方は、OHSS発症の可能性があります。20個以上できるような方は、従来の卵巣刺激法ではOHSSのリスクがかなり高くなります。ただ、このような方でも、新しい卵巣刺激法であるGnRHアンタゴニスト+アゴニスト(点鼻薬)法を用いることで、OHSSをほぼ100%回避することができるのです。当院ではOHSSの発症が心配される方には、この方法を用いてARTを行っています。その結果、山下レディースクリニックでは、平成18年以来、OHSSは一例も発症していません。

  妊娠という結果はもちろん大切ですが、それ以前に奥さまの体が大切です。当クリニックでは、高度な技術と安全性を両立した治療を心がけています。

こんなご夫婦が対象です

(AIHまでの一般不妊治療では、妊娠できない人が対象になります)

卵管性の不妊 卵管が詰まっている、機能が失われている
男性不妊 精子の数が少ない、動きが悪いなど
免疫性の不妊 抗精子抗体を持っているため体内での受精が難しい
子宮内膜症 通常の治療では妊娠できなかった
長期の不妊 一般不妊治療を受けても、長期間妊娠できずにいる

※「妻が35才と比較的高齢なので、卵子が老化する前に、不妊治療を体外受精からはじめたい」などというように、ご夫婦が希望する場合は、表の限りではありません 。

体外受精の流れ

(体外受精は、以下のような手順で行います)

  1. よい卵をたくさん育てます(卵巣刺激)
    排卵誘発剤を使ってたくさんの卵胞を育てます。卵子をとる(採卵)前に自然に排卵してしまうことがないように、卵子がある程度の大きさになったら、排卵をコントロールする注射(GnRHアンタゴニスト製剤)を併用します。採卵の36時間前にhCG製剤を注射して、卵子の最終的な成熟をうながします。
  2. 卵子を体外にとり出します(採卵)
    麻酔をかけ、長い注射針を膣の壁から卵巣内の卵胞に刺し入れて、卵胞液ごと成熟した卵子を吸引します。
  3. 卵子と精子を一緒に(媒精)
    マスターベーションで採精された精液を洗浄・濃縮して元気な精子を選び、卵子の入ったシャーレに加え、自然な受精を待ちます。
  4. 胚(受精卵)を育てます(胚培養)
    採卵の翌日に受精したかどうかを確認した後、さらに胚の培養を続けます。
  5. お母さんの子宮の中へ(ET/胚移植)
    4〜8細胞期胚(初期胚/採卵2、3日後)もしくは胚盤胞(着床時期の胚/採卵5、6日後)まで育てた胚の中から、最もグレードのよいものを1個(※)選び、カテーテルを使って子宮内にそっと戻して、着床してくれることを期待します。
    (※)2008年、日本産婦人科学会は、不妊治療による多胎妊娠を減らすため、「35歳未満の女性なら1個」、また「35歳以上の女性や反復不成功例の場合でも2個まで」にとどめるよう会告を出しました。
  6. 妊娠しやすい環境に(黄体補充)
    移植した胚が着床しやすいように、黄体ホルモンを投与するなどし、黄体機能をアシストします。
  7. 無事、着床してくれたでしょうか(妊娠判定)
    胚移植から約2週間後、妊娠したかどうかを判定します。胚が着床していれば、絨毛(のちに胎盤になる組織)からhCGという成分が分泌されます。おしっこの中からhCGが検出されれば、それは赤ちゃんからの「ここにいるよ」のサインなのです。

これが受精卵です

前核期胚(採卵翌日)

卵子の中に精子が入り込むと、卵子由来の前核と、精子由来の前核が寄り添うように並びます。採卵の翌日、このような前核期胚が確認されれば、受精成立! 数時間後には二つの前核が融合して、父側と母側の遺伝情報が混じり合い、受精が完了します。

4細胞期胚(採卵2日後)

受精卵(胚)の質を見極めるためには、ある程度の時間、培養してみなければわかりません。採卵2、3日後の4細胞期胚〜8細胞期胚の時点で、胚のグレードを判断し、子宮内に戻すやり方を、初期胚移植と呼びます。フラグメント(細胞くず)が少なく、細胞が均等に割れている胚ほど良好とされています。

当クリニックのART治療実績

 山下レディースクリニックでは、これからARTを検討されている方のために、当クリニックでの初回治療周期(※)における累積妊娠率を治療の種類別にグラフ化して公開しています。ここでいうところの妊娠率は、初めての採卵で獲得できた胚をすべて使い切るまで、新鮮胚移植や凍結融解胚移植を行った結果、最終的にどの程度の割合で妊娠が成立しているかを表しています。
※他の施設でARTを繰り返し受けてきた方も含む